吉見 玲於奈 (東京大学医学部附属病院)
吉見 玲於奈
東京大学医学部附属病院
令和2年4月1日~令和2年4月24日
(社会医療法人青洲会 青洲会病院)

 私は4月1日から24日まで青洲会病院で研修させていただきました。もともと親族に長崎出身者が多く、長崎市には幼いころから何度も来たことがありました。しかし平戸を訪れるのは初めてで、長崎出身の父より平戸は自然や食べ物が最高ということを聞いていたので研修前からとても楽しみにしておりました。東京から7時間かけてやっとの思いでたどり着いた平戸の町は、目の前に大きな平戸大橋とどこまでも続く青い綺麗な海が広がっており、長旅の疲れも一気に吹き飛んで目の前の景色に夢中になっていたのを思い出します。そんな自然豊かな環境の中で私の研修生活がスタートしました。
 研修内容としては主に、外来診察、病棟回診、透析課、検査課、放射線課に加え、訪問看護、訪問リハ、栄養課、連携室など普段私が大学病院では直接接することのないようなコメディカルの方と多く接する機会がありました。地域医療研修だったので、どの研修をするときも僻地と都市部における医療の相違点を意識しながら研修を行って参りました。一般外来において、青洲会病院では、ほとんどの患者さんが70歳以上で、高血圧や糖尿病、脂質異常症などを患い、認知症や脳梗塞後などの慢性疾患が多い印象でした。診察において、それらの疾患の重症化を予防するための二次予防に力を入れていると感じました。病気を治すということ以外に、病気を予防することに力を入れていることは、大学病院等で実践されているのは珍しいのではないかと感じました。また同時に、どの先生方も医療だけでなく介護、リハビリ、福祉、保健の知識があり、患者さん一人一人の生活背景を考えながら、医療を実践されていると感じました。これを実践するために多職種連携のつながりの重要さを実感することができました。
 また研修内容の一環として訪問リハビリの研修がありました。病院から約1時間もかけて平戸市の南部まで行き、患者さんの健康状態を把握したうえで訪問リハビリを行いました。何かしらの理由で通院ができない患者さんにとって、訪問介護や訪問リハは、患者さんにとって安心して健康管理を行える一因であると思いましたが、それらを十分に提供できる施設が平戸市は患者さんの数に対してとても少ない、ということをスタッフの方から伺いました。また同様に介護老人施設つつじの里、ケアハウスかしの木、養護老人ホームしかまちなどにも伺わせていただきましたが、職員の方のお話からもやはり同じ様なことをおっしゃっており、効率の良い地域医療を築くうえでの問題点も明確となりました。しかし、時間がかかってしまっても、こういった1つ1つの取り組みが、住み慣れて育ってきた環境で市民の皆さんの健康を守っていけることに繋がっているのだと実感いたしました。
 今回の地域医療研修を通して、普段大学病院では携わらないような医療の側面に触れられ、地域医療における特色、特性、問題点などを学ぶことができました。今回はコロナウイルスの影響でコンソーシアム合同オリエンテーションもネット上でのみの参加となってしまい、観光もあまり出来ず非常に残念でした。しかし、そんな大変な状況下でも平戸で過ごした1か月間はとても短く感じ、毎日が新鮮な経験ばかりでした。また自分が生まれ育ってきた場所では見たことのないような、綺麗な海と無数の星空を見たときは本当に感激し、ここに来てよかったと実感いたしました。大変な状況下でも私たち研修医を快く受け入れ、ご指導していただいた青洲会病院のスタッフの方皆様に心より感謝申し上げます。1か月間、本当にありがとうございました。いつかこの場所に戻ってきても恥じることのない立派な医師になれるよう、これからも精進して参りたいと思います。
吉見玲於奈