山下 大生 (独立行政法人国立病院機構 京都医療センター)
山下 大生
独立行政法人国立病院機構 京都医療センター
平成26年7月1日~平成26年7月31日
(医療法人医理会 柿添病院)

地域医療実習を経験して

普段京都の病院に閉じこもっていた僕にとって、地域医療実習は、普段の業務をはなれ、普段と違うことを学べるチャンスというつもりで、とても楽しみであった。実習の前に、家族で平戸を観光したがその時の魚のおいしさに感激し、これから始まる一か月に益々期待は高まる一方であった。
実際にはじまってみると、想像通りに日々楽しく、充実して過ごす事ができた。内容としては、外来見学をさせて頂いたり、健康診断など京都ではできないような業務をたくさんさせて頂くことができた。また、内視鏡、エコー、手術、ナートなどの手技も数をこなすことができ、手技のレベルアップをはかる事ができた。また、看護師さん、技師の方々、リハビリの先生方も気さくに話しかけて頂き、色々な方と交流を持つ事ができた。普段の病院では、他職種の方とすれ違っても挨拶をすることはほとんどないが、柿添病院では皆元気に挨拶をされており、とてもよい雰囲気のなかで実習をすることができた。
病院外の業務としては、検死や訪問医療、訪問リハビリ、リハビリ施設見学など地域医療ならではの経験もすることができた。検死では冷静に分析される先生をみて、幅広い知識と冷静さに感銘をうけた。リハビリ施設見学や訪問医療では、実際に各家庭にお邪魔することで、いかに役に立っているかをみることができ、このような形でも人の役に立つ事ができるんだと思った。このような一人暮らしの高齢者はたくさんいるという話を聞いて、これからの訪問医療のありかたや高齢化社会のなかでいかに地域の高齢者を守っていくかという問題はとても深いと感じさせられた。特に訪問リハビリでは一軒一軒1時間もかけて回るので一日にたくさんの家を訪ねることは難しい。また、家と家の間も遠く、車での移動でも時間がかかってしまう。そんな中でさらに需要は増える一方でありマンパワーの整備が必要であると感じた。また、リハビリ施設の役割や、介護保険についても国家試験では勉強したはずであるが実感がつかめずすぐに忘れてしまっていた。今回、各施設を見学してその役割を説明して頂くことで、改めて医療制度に関して興味をもつことができ、勉強するきっかけを作って頂くことができた。普段働くなかでは自分でやらなくてもMSWの方がしてくれることであるが、本来なら自分で知識をもっておくべきであると感じた。
一ヶ月の研修を通じて、医学の知識という点では普段の病院の方が多く学べていたかもしれない。しかし、地域医療でしか学べない事、例えば患者さんと毎日顔を合わせて、患者さんの日常の一部になることや、地域の患者さんは地元の病院でできるだけ治療を完結させて欲しいと思っている事、離島もあわせて総人口としては減っているかもしれないが、高齢者の割合は増加しており医療関係のマンパワーは地域でますます増加傾向にあること、地域の第一線の病院としてスタッフの方々がプライドをもって、明るく働いている事など多くの事を学ぶ事ができた。
すばらしい研修を提供してくださった柿添病院の先生方、スタッフの方々に心から感謝を申し上げたい。後輩にも地域研修はぜひ平戸にするよう勧めていきたいと思う。
山下大生