山根 貴裕 (東京大学医学部附属病院)
山根 貴裕
東京大学医学部附属病院
平成30年4月2日~平成30年4月27日
(社会医療法人青洲会 青洲会病院)

 私の初期研修2年目は長崎県平戸市にある青洲会病院でスタートした。大阪で生まれ、兵庫で育ち、東京で初期研修を行っている私にとって田舎での生活は初めてであり、4月1日に東京から5時間以上かけて病院に到着し、徒歩圏内にコンビニが無いと知った時に私はここで1ヶ月間生きていけるのか…と平戸の非常に綺麗な夜空と海を眺めながらも不安に襲われた。
 そんな中始まった青洲会病院での研修であるが、院内の外来や手術、学校検診、夜間当直、訪問リハビリ、関連施設である介護施設での実習、コメディカルの方の業務見学、離島での外来などバラエティーに富んでおり、日々驚きの連続であった。大学病院では外来を自分で行う機会は少ないため、先生の患者との接し方や問診の取り方は非常に勉強になったし、自分の専門外のことでもgeneralに対応できる能力を身につけることは大切だと感じた。離島での研修は平戸での研修の魅力の一つだと思うが、医療資源が少ない離島での外来業務の難しさはもちろん、フェリーからの綺麗な島々の景色は非常に印象に残っている。
 平戸地区には1年間に約100人の研修医が地域研修に訪れるとのことであり、青洲会病院ではスタッフの皆さん研修医がどのようにすれば充実した環境で研修できるかを熟知しておられた印象であった。先生やコメディカルの方々は皆さん非常に優しく、総務課の方々には実習の度に車で送迎をして頂き非常にありがたかった。シーサイド青洲は非常に快適であったし、1週目に平戸の研修医が集まるコンソーシアム合同オリエンテーションの機会を下さったお陰で週末は皆で長崎市街地まで遊びに行き、生月島や平戸島の自然を満喫することができた。
 全国と比較して高齢化率の高い平戸は、今後の日本を象徴する現場であると感じた。「病院は治療の場であるが、介護は生活の場である」という先生の言葉は非常に印象深い。急性期病院で仕事をしていると、医師の仕事は患者を治療することに重きが置かれており、実際にある程度の治療のメドがつくと転院されていくため、これまで患者の「その後」のことを考える機会があまりなかった。しかし実際は急性期病院で治療している期間よりも圧倒的に長い時間リハビリや介護が行われている。医師の仕事として患者の生活を考えてサポートしていくことも、今後高齢化が進む日本ではより一層大切になるだろう。
 基本的に面倒くさがりで生活力の低い私であるが、せっかくの機会だし地域研修は遠くまで行ってみよう!と重い腰を上げて平戸まで来て本当に良かった。こちらに来て1ヶ月経つ今では、魚は美味しく、海が綺麗な平戸を去るのが寂しくも感じ、またいずれ訪れたいと思うようになっている。短い期間であったが、常光院長や研修担当の山口先生をはじめとした医局の先生方、後藤課長をはじめとした総務課の方々、看護師やリハビリスタッフの方々、この研修に関って頂いた全ての方に感謝したいと思う。
山根貴裕