八巻 直緒人 (東京大学医学部附属病院)
八巻 直緒人
東京大学医学部附属病院
令和元11月1日~令和元年11月30日
(平戸市立生月病院)

 早朝に東京を出発し、飛行機、電車、バスを乗り継ぎ、半日以上かけようやく生月島へ到着したときにはすでに日没を迎えていました。生月大橋を渡り、島へ入った時には「凄いところに来てしまった」と感じました。そんな不安を抱えながら研修を始めていきましたが、生月病院の先生方を始め、看護師、技師、事務の皆様がとても優しい対応でいろいろ指導していただいたおかげで仕事に関して困ることはありませんでした。
 様々なところで都会との違いを実感しました。病院は病気を持った人が来るところであるため、必然的に高齢の方が多くなりますが、僻地医療ではその高齢化率の高さが際立っていたように感じます。今後の日本全体の将来像を体現しているということもあり、僻地医療に限らず、生月・平戸での医療は今後の医療制度を考える上での一つのモデルとして良い面・悪い面ともに学ばせていただきました。
 訪問診療でみえたのは、病気の人が必ず病院に来て診察を受けることができるわけではないということ。家族の助けを借りたりサービスの利用で病院まで受診される人もいるが、高齢化に伴い、同居の家族がいなかったり、サービスを利用する余裕がなかったり、人にとって理由は様々です。訪問診療という形で生活に溶け込みながら地域の健康を維持するというのは、僻地に限らず都市部の地域でも必要となります。生月で提供される医療は最先端の先進医療ではありませんが、それを必要としている人も多くありません。そもそも先進医療は都市部の大学病院に任せておけばよく、地域病院の役割は地域住民の健康水準の維持と向上だと思っています。それでも先進医療を必要とする人に適切なタイミングで紹介し、橋渡しすることも重要な役割であるため、どこで医療を行うにあたっても日々の勉強は欠かせないと感じました。
 豊かな自然とおいしい肉・魚と地元の方々の優しさと多少の不便さを感じながらの充実した1ヶ月でした。ありがとうございました。
八巻直緒人