渡邊 晴香 (社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院)
渡邊 晴香
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院
平成29年9月4日~平成29年9月29日
(医療法人医理会 柿添病院)

 2017年9月柿添病院で1か月間研修させていただき、幅広く沢山のことを経験させていただきました。実習初日に院内を一通り見学したところ、柿添病院では外来、病床のみならず手術室、透析室、歯科治療室等を備えており、MRIまで撮影できる環境でした。初日の午後には胃幽門側切除術の手術に入り、市中の総合病院や大学病院で施行される手術と遜色ありませんでした。それまで自分が抱いていた地域医療の漠然としたイメージを覆され、実習初日は驚きの連続でした。
一か月の実習を通じ、柿添病院の先生方の臨床能力に学ぶものが多かったと実感します。特に院長先生の「聴診器一つから得られる情報はとても大きい」という言葉が心に残っています。特別養護老人ホームわだつみの里への定期訪問診療で、右肺の呼吸音が減弱している患者様を診察し、院長先生は「どうしてもこの人のレントゲンをとりたい」という強い気持ちに駆られていました。患者様のご家族に連絡し、病院へ入院して精査治療を行うか、そのまま引き続き施設で見ていくかを話し合い、柿添病院へ入院する方針となりました。検査の結果、気胸と診断され胸腔ドレナージを行いました。施設入所中の方の健康状態を診察するだけでなく、患者様のご家族とも連絡をとり、どのように看取っていくのかを考え一人一人に寄り添い密着した医療をみることができました。今までは普段の診療において特に救急外来では、忙しい時に身体診察を簡潔に済ませて検査に依存していた傾向がありましたが、身体診察を疎かにしてはいけないと思いました。また、担当患者は肺炎、心不全、腎盂腎炎、脳出血、低ナトリウム血症、貧血、総胆管結石、帯状疱疹等、多岐に渡るものでした。そのような症例を外科医の先生が全て受け持っていました。専門科という垣根を超えて他職種とも連携し、できる限り全ての診療を行い、個々の患者様の病状だけではなく社会的背景や患者様の価値観等を把握することを学びました。
 日常診療において、主に地域住民の健康診断を担当させていただきました。検査結果の説明の仕方を試行錯誤しながら行い、生活習慣病のアドバイス等を加えて自分なりに工夫し、今後の生活習慣を見直す契機になるよう意識しました。他にも、度島への訪問リハビリ、附属中野診療所での訪問診療、乳児健康診断、5歳児発達健康診断、保健所研修、留置所での診察等の沢山のことを経験させて頂き、どれも初めてのことで新鮮でした。
 週末は平戸の青く透き通る海と色鮮やかな緑の山に癒されました。平戸牛や海鮮等の食事を楽しんで、平戸を満喫することができました。
 一か月丁寧にご指導して下さった柿添病院の先生方、メディカルスタッフの皆様、本当にありがとうございました。静岡に帰ってからもこの一か月で学んだことを活かせるように励みたいと思います。
渡邊晴香