和田 真梨子 (地社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院)
和田 真梨子
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院
平成29年10月16日~平成29年11月10日
(医療法人医理会 柿添病院)

 「地域医療」。この言葉を聞いて最初に思い浮かべたのは、医療資源も人材も足りていない辺境で、ギリギリの医療が提供されている、という光景だった。だから、正直、地域研修に行くとなっても観光を楽しもうくらいの気持ちであった。
 平戸研修の場である柿添病院に到着し、まず思ったのがそこにいる職員の方々がいきいきと働かれているということだった。なんだか楽しそうな研修になりそうと、わくわくしながらその日は眠った。そして、その直感は間違っていなかった。柿添でのこの1ヶ月は、間違いなく、私の人生において最も楽しく学びの得られた1ヶ月となった。
 毎日の外来・病棟業務では、患者さんと距離が近く、直ぐに顔見知りになれることに喜びを覚えた。病で辛いであろうにも関わらず、回診に行けば色々話してくださり、忙しさで、医者として人を助けたいという初心を忘れかけていたのを思い出させてくれた。地域医療という、地域で患者さんの健康を守っていこうとする理念に触れることができた。一方で、行っている手術、出来る検査に関しては都会に遜色ない点に驚いた。特に柿添病院は、地域の基幹病院でもあり急性期病院であるため、症例も多彩で豊富であり、とても勉強になった。そしてそのレベルを保っていくために努めておられる柿添の先生・スタッフの方々の姿に非常に感銘を受けた。
 また、平戸の魅力を知ることもできた。人々は優しく、風景は美しく、ご飯は美味しく、ここで将来働いて見たいと思った。地方で働くことを全く視野に入れていなかった身からすると自分の変わりっぷりに驚いているが、それくらい魅力的な地であった。
 このような研修ができたのは、なにより柿添の先生・スタッフの方々、そして共に研修した同期のおかげであり、感謝してもしきれない。
 平戸は高齢化が進んでおり、人口構成が25年後の日本を表しているという。今回私は、良いシステムの下、皆が協力すれば地域はまだまだ元気にやっていけると学んだ。今回の学びを胸に、良い医者、人々の健康を守れるような医者になれるよう今後も精一杯努力していきたい。
和田真梨子