植田 智美 (独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院)
植田 智美
独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院
平成30年7月2日~平成30年7月27日
(社会医療法人青洲会 青洲会病院)

 つい先日までは平戸での研修の準備を慌ただしく行っていたのが、月日は早く過ぎ、地域研修が終わろうとしています。日々充実した研修生活であったことを裏付けるかのようにあっという間の1ヶ月でした。
 横浜生まれ、横浜育ちの私はこれまでまとまった期間、平戸のようないわゆる田舎で生活したことがありませんでした。そんな私が平戸で研修生活を開始して早々に感じたのは、人と人の関わり合いが親密であったことです。これは、医療従事者同士はもちろんのこと、医療従事者と患者との間も然りでした。研修中、日々の外来、訪問リハや往診、特別養護老人ホームなどを見学させていただきましたが、どの場面でも医療従事者同士や患者—医療従事者間の信頼関係が構築されていました。一人の患者に対しあらゆる職種のスタッフは互いに協力し合いながら疾病のことはもちろんのこと、生活状況、家族関係などまで介入し、その患者に対し最善の医療介護福祉を施す努力がなされていました。平戸は高齢化が急速に進んでおり、それだけ様々な併存疾患を抱えた方が多いというのは容易に想像できます。だからこそ、各診療科や職種の垣根を超えた総合的な医療が必要になると感じました。これは何も田舎の病院に限ったことではなく、高齢化社会が急速に進んでいる日本において、どの地域にいても必要な心構えだと思いました。昨今、診療の心構えとしてEvidence Based Medicineが言われておりますが、今回の研修を経て、必ずしもそれのみが患者の幸せに繋がるわけではないと感じました。たった1ヶ月の研修ではありましたが私なりの考えとして、地域医療の根底、さらには医療の根底にあるものは、患者一人一人の疾病、生活状況、家族関係などを総合的に考えた上で、その人にとって最適な医療を提供することだと思いました。
 私はまだ医師としてのスタートを切ってから2年にも満たない、いわば、ひよっこですが、今回平戸で学んだことを今後の長い医師人生の糧としたいと思います。
 今回、短い期間ではありましたが、研修を受け入れてくださった常光院長や総務課の後藤さんをはじめ、医局の先生方、看護師さん、技士さん、薬剤師さん、その他多くのコメディカルの方々、地域住民の方々など、挙げれば枚挙にいとまがありませんがこの場をお借りして御礼を申し上げます。ありがとうございました。
植田智美