泊 由里子 (独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター)
泊 由里子
独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター
令和2年2月3日~令和2年2月28日
(医療法人医理会 柿添病院)

 医学部を志した時から、いつかは地域医療に関わりたい、一人の一生をずっと支えられる医師になりたいと思っていた私にとって、この実習は最も楽しみにしていたローテートの一つでした。
 柿添病院での実習は外来診療が中心でした。健診やリハビリに来られる方の診察、定期処方をもらいに来る方など、これといった症状のない方の診察は、普段経験している救急外来とは全く違いました。初めてお会いする方でも、慌ただしい外来ではカルテをチェックする時間は十数秒。使い慣れないカルテでは病態を把握できないまま患者さんをお呼びしてしまうこともしばしばで、果たしてこの処方をこのまま出してよかったのか、何か見逃していないだろうか、私がこの人の次回受診までの健康を担保できただろうかと、ヒヤヒヤする毎日でした。たくさんの外来患者さんを抱えながらも丁寧に、温かくお話を聞き、問題点を拾い出していく先生方の偉大さを痛感しました。
 また、予防医学についても関心を深められました。健診での異常値を、どう説明し、どう生活を変えていただくか、病院受診に繋げるかを悩みました。お元気な方にこれをうまく説明できてこそ、その人の健康や医療費削減につながるのだと実感でき、また説明する責任を感じました。
 日々の入院診療でも自分の研修病院とは違う学びが多々ありました。他科にコンサルトしたい時も次にその科の先生が来られるのは1ヶ月後、それまでは自分で管理しなければいけません。毎日勉強すべきことが膨大にあり、日々の診療をこなしながらこれをしていくのかと、地域医療の大変さを思い知りました。
 診療の外でも、先生方や研修医と平戸の美味しいものを食べたり、休日にドライブをして綺麗な景色を見たりと、充実した1ヶ月でした。何より、病院や見学先で出会うスタッフの方々がみなさんとても温かく接してくださり、初めての地でものびのびと研修させていただきました。感謝の心を持って、地域に貢献できる医師になるよう精進します。
 貴重な勉強の機会を与えていただき、本当にありがとうございました。
泊 由里子