杉原 晋之介 (独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院)
杉原 晋之介
独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院
令和元年9月2日~令和元年9月27日
(社会医療法人青洲会 青洲会病院)

 横浜から新幹線とバスを乗り継ぎ8時間、平戸口田平のバス停に降りたときは、夏の暑さが少し残るものの潮風が心地良かったのを覚えています。昨日まで8月だったというのに、平戸大橋を望む堤防には既にアオリイカの墨跡を見つけることができました。夕食に使った醤油の甘さから、自分が九州に来たことを改めて実感したものです。
 翌日から業務が始まりました。外来では聞き慣れない方言に戸惑うこともありましたが、背景を共有したうえでの医療者と患者さんとの近い距離感を感じながら、我々が目指すべき”人を診る医療”の端緒を勉強できた気がします。また、横浜では経験できない、海や山が近いからこその主訴での症例、その対応というものも幾つか経験することができました。透析室では、穿刺や回路のことを沢山教えていただき大変お世話になりました。
 また、普段の病棟や外来業務のみならず、リハビリテーションや介護施設にも伺わせていただきました。今後さらに進行していくであろう本邦の高齢化を鑑みると、二次予防・三次予防の重要性、介護と地域の問題など様々なことを考えさせられます。
 大島への訪問診療には高波のために伺うことができなかったことが残念でしたが、ここにも地域性のある事情を感じ取ることができました。
 夕方には病院の駐車場から釣りをしたり、車で生月島に足を運んだりしていました。生月島の岬からイカ漁船が遠くなっていくのを、ただぼーっと眺めているのが好きでした。
 9月は連休が多かったこともあり、週末には九州7県全てに足を運ぶことが叶いました。
 九州は沢山の美味しい料理や素敵な温泉があり、そういったオフの楽しみも平戸での地域研修の魅力だと思います。
 宿舎に飛んできていたコクワガタを見なくなり、アキアカネが宙を舞うようになったかと思えばその姿も消え、すぐに肌寒い季節になりました。
 束の間の1ヶ月間でしたが、これもひとえに青洲会の関係者の皆様、及びながさき県北地域医療教育コンソーシアムの皆様のお陰で充実した研修を行うことができたからだと感じております。この度の地域研修で学んだことを糧に、日々の診療に一層邁進してまいりたいと思います。本当にありがとうございました。
杉原晋之介