須藤 祐伴 (社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院)
須藤 祐伴
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院
平成29年6月5日~平成29年6月30日
(平戸市立生月病院)

 研修初日の朝、官舎の固定電話がなり、出てみると院長先生からでした。少し早くこれるかな?という内容であり、すぐに行きますと返答。官舎を出ると病院の前には救急車が止まっていました。病院に入り院長先生と初対面。挨拶もそこそこに下腿開放骨折患者の搬送についていくことに。救急車に乗り込みクネクネの山道を走り出しました。生月から佐世保の病院まで片道約1時間。この時間が地域研修に来たことを痛感させてくれました。帰りは車窓から見える広い空、青い海、反対を向けば緑多き山々に囲まれた絶景に酔いしれ、なんて素晴らしいところだと感激しました。
 研修では、在宅診療で患者宅にお邪魔することや、施設回診では特別養護老人ホームや、デイケア施設を訪問し寝たきりの患者さんや100歳を越える利用者さんと接する機会を得ました。島に来た当初「生月は20年先をいっている。」と院長先生がおっしゃられていたことを思い出します。そんな日々の中で新鮮だったのが、保育所児童健診や、小中学校で学校保健会議に参加させて頂いたことです。未来ある子供達が健やかに成長していくことを島全体でバックアップしている印象を受けました。
 しかし島からは年々若い世代が減っています。こんなに素晴らしい所なのだから、この子供達が大人になり、子供を授かり、産み、育て、また歴史が繋がっていける、そんな島であってほしいと思いました。都心から離れた島では色々な課題があるのだと思います。安心を持って暮らしていくためには医療の充実は必須と思います。2025年を目前に、この問題はこの島に限ったことではありません。現状を維持することが困難な状況に突入しようとしている昨今で、より良いものを作っていくことは並大抵のことではないと予想されます。これから押し寄せてくる荒波にどのように対応していくか、限りある医療資源でどう立ち向かっていくのか、考えるきっかけをいただきました。
  あっという間の1ヶ月でしたが、とても充実した研修となりました。院長先生をはじめスタッフの方々に厚く御礼申し上げます。
須藤祐伴