渋谷 孝起 (社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院)
渋谷 孝起
社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院
令和2年6月29日~令和2年7月22日
(医療法人医理会 柿添病院)

 地域医療研修として柿添病院に4週間研修させていただきました。様々な研修内容を準備していただき大変実りの多い研修でした。
 柿添病院での研修は多岐に渡り、高等学校や留置所での健康診断業務、乳児健診や5歳児健診、通所リハビリテーション、訪問診療、院内での健康診断業務や当直業務など様々な業務を経験させていただきました。急性期病院では経験できない沢山の業務に携わることができ、将来の自分自身の働き方を考える上でも有益な機会でした。
 柿添病院の研修で印象に残ったことは、まず一つに医師にジェネラリストとしての能力が求められる機会が多いと感じたことです。先生方は外科や整形外科など自身の専門科がある上で患者さんの色々な症状や訴えに、たとえ自分の専門とする科のものでなくても対応されていました。一方、多くの急性期病院では各科の医師が揃っている状態で、他科の症状の訴えがあれば該当する科の受診を勧めることが多いです。これについては病院の規模や機能、役割が異なるからであり、そこに優劣をつけるものではないと思います。しかし、長いキャリアの中で様々な機能を持った病院に従事することになるでしょうし、形成外科という専門を持ちながらジェネラリストとしての幅を広く持つ必要性、そしてそのほうが患者さんにとってより医者らしいのではないかと感じました。初期臨床研修の期間もすでにあと1年を切ってしまいましたが、様々な科を経験でき、そして先輩医師が教えてくださるという貴重な機会をもっと大事にして勉学に励んでいきたいと強く思うようになりました。
 二つ目に印象に残ったことが、患者さんに提供することのできる医療資源はまだまだ沢山あったと実感したことです。急性期病院では緊急性の高い事案に対して対応して鎮静化したら治療は終了になることが多いです。しかし、患者さんはその後、リハビリ病院や通所リハビリテーション、訪問診療など様々な形で医療・介護などを利用されます。今回の研修で、訪問診療や健診業務など実際に体験する機会を初めて得ることができ、大変有益な経験となりました。特に見学ではなく実際に携わる機会を多くいただいたことで主体的に経験し、より理解が深まったように思います。
 三つ目に印象に残ったことは、平戸の方々がとても温かかったということです。柿添病院の先生方をはじめ、コメディカル、各スタッフの方々は当初右も左も分からないような状態であった私に対してとても親切に指導してくださいました。患者さんや近隣住民の方々にも優しく話しかけていただき、とても嬉しく思いました。4週間という長い期間、何不自由なくストレスも少なく生活できたのは皆さまのおかげです。
 今回の研修では地域医療について学べただけでなく、平戸の良さを実感する良い機会となりました。この経験をいかして更に勉学に励むとともに、平戸の方々のような優しさをもって診療にあたれる医者になって行きたいと思いました。4週間どうもありがとうございました。
渋谷孝起