大﨑 活貴 (独立行政法人 国立病院機構 京都医療センター)
大﨑 活貴
独立行政法人 国立病院機構 京都医療センター
平成30年1月9日~平成30年2月1日
(医療法人医理会 柿添病院)

 2018年1月8日から2月1日にかけて柿添病院で研修させて頂きましたので、報告させて頂きます。へき地医療に対して研修前は、高齢者が多い割に資源・人材が乏しく医師数も少ないことから専門性のある質の高い医療が受けにくいというイメージがありました。調べてみると、平戸市は10万人あたりの医師数が、全国平均で249人のところ144人と少なく、高齢化率も全国平均で26.3%のところ37.3%と高齢化が進んでいるようでした。そんな平戸市で実際に地域研修を1ヶ月研修させて頂きました。色々経験させて頂きましたが、中でも3つに絞って体験し感じたことを述べたいと思います。

 1つ目は病棟業務です。入院が要する患者を管理することは、容易に急変することもあり大変だと思いますが、先生方は外来もこなしつつ、何十人と担当されていて非常に感銘を受けました。医師数の数が少ないと専門領域以外の疾患も診る必要があります。消化器外科が専門領域であっても、気管切開術や胸腔ドレナージも行い、一方で降圧薬や抗凝固薬など内科的管理をし、漢方や抗うつ薬までも処方されている姿を見て、その背後の努力を垣間見た気がします。実際に夜遅くまで診療業務をされていて、へき地医療はこうした先生方の奉仕の精神で成り立っているのだなと痛感しました。
 2つ目は外来業務です。私は今まで時間外の救急外来しか経験したことがなく、受診後のフォローはしたことがなかった為、とても良い経験となりました。柿添病院は平戸市の中枢の医療機関であり、他の地区にある更に高度な医療機関に紹介するか、次回外来までフォローするか判断しなければなりません。ここでも、やはり専門領域に限らない幅広い医療が必要だと思いますし、また、他の都市まで行って受診する必要があること、あるいは何らかの異常はあるけれど次回外来までフォロー出来ることを患者さんに理解して頂く必要があります。患者さんの不安を汲み取りながら会話し診察している先生、看護師方の姿が印象的でした。
 3つ目は訪問診療、訪問リハビリテーションです。病院まで受診することが出来ない患者さんの実際の生活を垣間見ることで、色々な医療社会の問題点に触れた気がします。老々介護の限界や、介護保険の適応の狭さを訴える患者さんや医療者が多かったです。将来日本では、高齢者の絶対数は減りますが、高齢化率は増加していきます。平戸市のように、多職種の連携が強く、また地域のコミュニティも強ければ多少は補える問題ではあると思いますが、なかなか都市部では難しいだろうなと思いました。

 以上3つ述べましたが、共通して感じたことは、医療者と患者さんの距離が近いことです。今まで診察室のなかで患者さんと医師として対応していましたが、この実習では患者さんの生活背景を意識した診療をされていると感じました。患者さんが望む医療を考えた場合、生活に関してもっと考慮しないといけないなと痛感しました。
 その他にも、幼児健診や保健所、他院救急搬送など色々経験させて頂きとても新鮮で楽しかったです。私生活の面でも平戸市は、自然に恵まれていて景色がとても良く、ご飯も美味しかったです。ちょうどひらめ祭りをしていて美味しい歯ごたえとうまみのあるひらめが食べられました。
 1ヶ月と短い期間ではありましたが、柿添病院で研修することが出来てとても満足しています、本当に有難うございました。
大﨑活貴