岡田 直己 (社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院)
岡田 直己
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院
平成30年1月22日~平成30年2月16日
(平戸市立生月病院)

 山道を、行けども行けども病院は見つからず、やっとの思いでたどり着いた時には真っ暗闇の中星と海に囲まれていました。ここで一ヶ月やっていけるか正直不安な気持ちに駆られていたところが、自分の研修のスタート地点でした。その不安な気持ちの中、偶然にも到着直後に山下院長に宿舎前でお会いし、暖かいお酒と長い道中を労う言葉をいただいたことは今でも本当にいい思い出です。

 さて、本題ですが、私はこの地域研修で大きく二つのことを学んだと感じております。一つは、限られた医療資源を上手に運用して患者に最適な医療を提供する方法、もう一つは離島で担う病院のコミュニティーとしての働きです。
 前者については、施行可能な検査、普段自分が所属病院であまり意識して行わない細かな身体所見、および豊富な経験から、院内で処置する症例か搬送するべき症例かを適切に振り分ける判断基準を、離島での医療経験が豊富な先生方から肌感覚で学ばせていただくことができました。この経験は、ともすれば検査firstになりがちな大きな病院での診療を振り返る上で非常に参考になりました。
 後者については、患者と医師が完全に顔の見える関係で、お互いがどのような生活をしておりどのような家族関係を築いているかを把握し合っており、故に先生方は患者の生活レベルでの予防医療に積極的に取り組んでいらっしゃるように見えました。実際、患者に運動しなさいと再三おっしゃる山下院長が、生月でおこなわれるマラソン大会に出場されている様は地域の患者にとって非常に説得力のあるプレゼンテーションだなと感じました。実際に、外来患者を持つ上でこのような顔の見える関係をできるだけ作ることは、患者の治療に対するアドヒアランスを良好に保つ上で非常に有用であると学びました。

 最後になりましたが、指導いただいた生月病院の先生方、スタッフの皆様、本当に一ヶ月間ありがとうございました。
岡田直己