中保 良太 (地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター)
中保 良太
地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター
令和2年8月17日~令和2年8月28日
(平戸市立生月病院)

 私は2020年8月後半の2週間を平戸市立生月病院で研修させていただきました。
 この2週間で学んだ地域医療の大変な点や大切な点、面白かった点について簡単にですが報告させていただきます。
 はじめに、私は大学生の頃に偶然生月を観光したことがあったので、「まさかまたここに来るとは」と思いながら研修が始まりました。前回来たときは日帰りの観光だったのでそれほど大変さを感じませんでしたが、実際に生活してみるとまずは虫、次に車で30分かけないと生活用品が手に入らない立地に衝撃を受けました。しかし、すぐにそれらの問題にも慣れ、逆に澄んだ空気や満点の星空、美味しい魚など普段の生活ではみられないような感動に出会うことができました。
 医療の面では普段の何気ない検査が夜間ではできなかったり、緊急の治療が必要な場合に搬送に長時間必要だったりと、やはり地域の病院の限界を実感しました。当然それぞれの病院に役割があり、医療資源にも限りがあるため、全ての病院で同じような検査や治療ができる必要はないと思いますが、実際に当直などをしていると検査のハードルが高いことの大変さを実感しました。
 一方、問診や身体所見などの重要性を再確認することもできました。日頃、臨床の経験不足からついつい各種検査に頼りがちですが、生月病院の先生方は丁寧な問診と身体診察で本当に必要な場合のみ検査を行っていました。不必要な検査を減らすことで医療費を抑えるなどのメリットもありますが、一番は患者さんにとって負担が減るのだと実感しました。また、ある高齢の患者さんが「まだまだこの島におりたいし、最後はこの島で終わりたい」と話されていました。その人にとって最後をどう迎えるかはとても大切なことだと思います。できるだけその人がその人らしく最後を迎えることができるように、これからも生月病院のように地域に根付いた病院は必要なのだと感じました。
 その他に、患者さんと医療スタッフの距離の近さに地域医療の面白さを感じました。お互いがお互いのことをよく把握しているため、患者さんの顔を見るだけでどのような状況か理解しているようでした。将来、外来を担当させていただくことになったら、生月病院のような医師-患者関係を目指して頑張りたいと思います。
 最後になりましたが、この2週間で本当にたくさんのことを学ばせていただきました。暖かく迎えてくださった生月病院の先生方、病院職員、また研修医同期の杉浦先生に心から感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
中保良太