長野 源太郎 (東京大学医学部附属病院)
長野 源太郎
東京大学医学部附属病院
平成30年1月4日~平成30年3月30日
(社会医療法人青洲会 青洲会病院)

 2018年1月から3月にかけて青洲会病院で地域医療研修をさせていただきました。病院の目の前には平戸瀬戸が広がり、平戸大橋や平戸城がきれいに見えます。主に慢性期の患者さんが入院されていますが、ICUや手術室も備え、夜間も救急対応が可能なとてもアクティブな病院です。
 初期研修が終わると専門領域に進むことになりますが、今のうちに自分の専門外の領域を学ぶ必要があると思いました。地域医療研修では幅広く全身を診る経験ができるのではと思い、3か月選択させていただきました。
 青洲会病院の研修プログラムには、離島の診療所、保健所、デイケア、介護施設、訪問リハビリでの研修も含まれており、それぞれの役割や連携の仕方を学ぶことができました。最初の1か月は横浜労災病院から来ていた研修医の菊西くんと楽しく研修させていただきました。その後、研修医は私1人となりましたが、自由に外来や手術に入らせていただき、幅広い経験を積むことができました。手術は週に2回から3回あり、例えば月曜に大腿部頚部骨折、火曜に大腸癌、水曜に前立腺癌に対する手術とバリエーションに富んだものでした。救急で診断した慢性硬膜下血腫の患者さんの手術や入院管理、誤嚥性肺炎で呼吸不全となった方の挿管やICUでの入院管理なども経験させていただきました。
 平戸の高齢化率は37%を超え、「地域医療=高齢者医療」の側面が強いと感じました。多くの既往歴を持ち、内服薬も10種類以上飲んでいる患者さんをたくさん見かけました。老々介護の方や一人暮らしの高齢者の方も多く、患者さんの生活に一層気を配る必要があると感じました。例えば、離島で骨折して当院で手術した高齢の患者さんに対しては、退院後にリハビリに通うのは困難です。そのため、入院期間を長くしてリハビリを十分していただくといった配慮が必要です。人的資源を含め、限りある医療資源をどう利用するか、常に悩みながら診療に当たっている先生方やスタッフの皆様と一緒に仕事できたのはとても貴重な経験でした。また地域医療においては、専門診療科に関係なく全身を診る必要があり、青洲会病院の先生方も自分の専門領域を超えて診療されていました。私も自分の専門領域を深めつつ、専門外の領域の裾野を広くしたいと感じました。
 3か月間の地域医療研修を受け入れていただき、とても充実した日々を送ることができました。院長の常光先生をはじめ医局の先生方、そして青洲会病院のスタッフの皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。
長野源太郎