森 彩 (地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター)
森 彩
地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター
平成29年6月5日~平成29年6月16日
(医療法人医理会 柿添病院)

 長崎県はおろか、九州を訪れたことすら数回であった私は、訪れる前から平戸での実習をとても楽しみにしていました。実際に平戸での実習を終えて振り返ってみると、予想していた以上にたくさんのことを学ぶことができ、とても充実した日々でした。
 平戸での実習でまず気づいたことは患者の年齢層の高さです。実習を開始して最初に担当した患者さんは両方年齢が89歳でした。2週間を終えるころには90代の患者さんでも驚かなくなってきていましたが、最初は驚きでした。現在働いている西神戸医療センターでもご高齢の患者様はたくさんいるのですが、これほど割合が高いことに驚きました。先生方の「ここは日本の10年後の年齢層と似ているから、最先端を行っている」という言葉から、平戸での実習はこれからの日本の医療を考えるきっかけにもなりました。これからの日本はますます高齢化が進み、患者も医療者もともに高齢化していきます。患者の数は増えていくのに少ない人数で多くの患者を診ていくのは医師として負担は大きいと考えられます。患者の数を減らすのは無理かもしれませんが、健康診断は増加を食い止める一助になり、これからかなり重要になってくると思いました。今回初めて健診を経験させていただきましたが、受けられる30代~40代の方の異常所見を確認し、精査を行うことは早期発見につながりますし、健診を通してすぐ精査する必要がなくても今後の生活習慣を考え直すきっかけ作りになると感じました。これから、健康診断に関わる機会があるかどうかわかりませんが、機会をいただけたら積極的にかかわっていきたいと思います。 
 他に、柿添病院では外傷患者の付け替えやリハビリ患者の診察といった、同じ患者をずっとフォローアップしていくという経験もさせていただきました。西神戸医療センターでは当直として救急外来で患者の初期対応をすることはあっても、その後どうなったかというのは入院しないとなかなか追えないところがありました。付け替えの際には、外傷に対しての処置の仕方や、その後どのように創部が治癒していくかを学ぶことができました。先生方から創部の状態の評価や、その状態に対して適切な処置の仕方などの知識も教えていただいたので、この経験はかならず救急外来で生かしていきたいと思います。リハビリ患者のリハビリ前の診察では、リハビリを作業療法士・理学療法士の方に任せきりにするのではなく、動きにくくなっている部分の調子はどうか、体調はどうか週に何回も見ることができるため、しっかりと状態を確認してリハビリ継続を行える利点があると思いました。現在は研修医として救急外来での対応しかできませんが、専攻医になると定期外来で患者をフォローアップしていく機会が訪れます。自分の専門分野だけに特化するのではなく、知識の幅を広げて他の職種の方とも患者の状態について連携をとるべきと感じました。
 柿添病院の先生方はどんな訴えの患者に対してもしっかりと訴えを聞き取り、何か質問があれば答え、また患者が不安にならないように声をかけている姿が印象的でした。先生方の顔を見ると患者がとてもほっとした表情になることがあり、とても信頼されていると感じました。患者と話す・診察するという検査以前の医者としての原点の重要さを改めて自覚しました。患者の急変時など、緊急時には検査に頼ってしまいがちなところがあったので、この原点に立ち返って、まず患者の立場になって声掛け、診察ができるようにしていこうと思いました。
 また、地域実習自体からは話は少しそれますが、柿添病院での実習の楽しみの一つが毎日の食事でした。毎日違う食事のため「今日はどんな食事だろう。」と楽しみでした。リハビリの毎快を訪れた際にも、利用者の方から柿添病院に入院していた時は毎日食事が本当に楽しみだったという声が聞かれました。どういった疾患に関しても、栄養状態が悪いと治るものも治らなくなるというのを5月に回っていた消化器外科で言われたことがあったので、食事がこれだけおいしいと疾患の治りも早いのではないかと思いました。毎日こだわった食事を作ってくださった調理師の方々にすごく感謝しています。この2週間でとても健康になった気がします。神戸に戻っても、食事に気をつけて自分の健康管理をしっかりとしていきます。
 2週間という時間はあっという間で、もっと長く先生方から学びたかったという気持ちが強いです。しかしながら、2週間という短期間にもかかわらず、多くのことを学ばせていただきました。神戸に帰って今回のことを生かしていきます。本当にお世話になりました。ありがとうございました。
森 彩