宮崎 純志 (地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター)
宮崎 純志
地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター
平成30年8月20日~平成30年8月31日
(平戸市立生月病院)

 私は2週間、平戸市立生月病院で研修させていただきました。
 研修前夜、バスで生月へ向かう道中はとても険しい山道で、一体どんなところでの研修が待っているのか不安な気持ちになりました。しかし翌朝、初めて病院の駐車場から景色を眺めると世界遺産である中江の島が浮かぶ綺麗な海や山々の景色が広がっており、とても感動したのを覚えています。
 約6000人以上の住民が住む島で唯一の病院ということもあり、研修では一般診療、健康診断、リハビリ、訪問診療など非常に多岐にわたった業務を体験することができました。入院適応や救急外来での対応の違いから戸惑うことも多々ありましたが、医療資源が限られている地域ならではの医療を学ぶことができました。その中で感じたことは、同じ年齢、同じ疾患でも必ずしも都市部と同じ治療を受けられるとは限らないということです。それにより患者さんの治療への選択肢も狭まってしまいますが、日本の隅々まで最新設備を備えた病院を建設することは非現実的です。ドクターヘリや救急車を使った搬送など、様々な取り組みがされていますが、病院の集約化が進むこの時代にもう少し考えていかなければならない問題であると感じました。また、生月病院の先生方は限られた医療資源の中、自分の専門外の疾患まで非常に多岐に渡り診療されており心の底から尊敬する一方で、こういった体制を行政などがしっかりバックアップし、専門医による治療を受けられるようにしないと、高齢化が進み、医師不足に陥っている地域の医療はいずれ崩壊するのではないかとも感じました。
 このように様々な問題点はあるかと思いますが、生月病院では先生方と患者さんの間に強固な信頼関係が築かれており、それは都市部で働いていると忘れられがちな「患者さんのための医療」という医療の本質を思い出す良いきっかけとなりました。神戸へ戻っても、この気持ちを忘れず日々の診療に励もうと思います。
宮崎純志