南 公人 (独立行政法人 国立病院機構 京都医療センター)
南 公人
独立行政法人 国立病院機構 京都医療センター
令和2年9月1日~令和2年9月30日
(医療法人医理会 柿添病院)

 地域医療研修として1か月間、柿添病院でお世話になりました。
 実習前の想像では、地域医療研修というと、午前中は少し外来をみて、午後は比較的ゆっくり…などと甘い考えでいたのですが、柿添病院では一日中どの先生方もほとんど休みなく外来・病棟を駆け回っており、研修開始後すぐ深く反省いたしました。どの先生方も、自分の専門によらず多くの患者さんに、都会の大病院に比べればできる検査の種類や速さに限りのある中で、経験を活かしつつできる限りの治療を施し、また回復期のリハビリ等のサポートも行って、全人的に診療を行っている姿がとても印象的でした。
 研修内容について、基本的には午前中は健診・内視鏡・外来診察、午後は病棟業務となっていましたが、その中で先生方が忙しい中時間を調整いただき、保健所研修や幼児・乳児健診、通所リハ見学、訪問診療、地域の災害訓練への参加など、多岐に渡る経験をさせていただきました。地域でprimary careに関わる先生方の幅の広さを目の当たりにしたと同時に、普段の研修とは全く異なる角度から医療・介護、地域の方々との関わり方について見直すことができました。また、介護保険や主治医意見書の書き方など、今後都市部の診療であっても必須となる知識についても丁寧に勉強する機会を設けていただき、自分にとって大きな財産となりました。
 さらに印象深かったこととして、そういった幅広い経験と同時に、研修医それぞれの今後の進路に沿った研修も組んでいただけたことがあります。専門外来に丸一日入れていただけたり、病棟での処置や手術の際も、それぞれの進路に応じて経験を積ませていただけました。そういった研修プログラムの柔軟性も、この病院での研修の大きな特徴であったと思います。
 日々の入院診療では、研修医からの意見も積極的に取り入れて、ある程度我々の好きなように(放任というわけではないですが)、半ば主治医として検査・治療を組み、退院までの管理を任せていただけ、後期研修まで後半年という時期に貴重な訓練を積むことができました。また、医師間だけでなく、コメディカルの方々との距離が大変近いことも大きな特徴で、資源自体は限られた中でも、職種間で綿密に相談し合うことで、都会の病院よりもむしろ患者管理や指導は行いやすいように感じました。栄養やリハビリについて頻繁に相談し調整していく患者管理は、京都に戻っても継続していきたいと考えています。
 生活面では、病院の周りには飲食店が大変多く、どこも地元の鮮魚や平戸牛、地酒を手軽にいただくことができ、日々の疲れを癒すことができました。地域の方々も大変温かく、見知らぬ土地で1ヶ月過ごす支えとなりました。
 最後になりますが、研修の間指導にあたってくださった先生・スタッフの皆様、不慣れな処置にも付き合ってくださった患者様、その他支えてくださった地域の方々に熱く御礼申し上げます。1ヶ月間、本当にありがとうございました。
南 公人