熊川 友子 (埼玉医科大学病院)
熊川 友子
埼玉医科大学病院
平成29年10月2日~平成29年10月27日
(平戸市立生月病院)

 10月1日日曜日の夕方、私は長崎空港から3時間弱かけて生月島への道を運転していました。生月島は人口約6000人の島であり、生月病院は唯一の入院床を持つ病院。私が事前に知っている情報はそれのみでした。暗闇に包まれていく道を、生月島ではどんな出会いが待っているのだろう、普段研修している大学病院とは何が違うのだろう、と期待と不安が入り混じる気持ちでいっぱいだったことを懐かしく思います。しかし、この1か月を振り返ると生月島での研修は予想をはるかに超えて多くのことを学ぶことができました。
 介護認定審査会や救急医療懇話会への出席を通じて多くの職種の方々との連携が必須なことを感じました。また、大学病院で経験したことのない往診や健診、施設への回診、予防接種の機会に触れ、予防医学の重要さも実感しました。このことを通じて、私たち人間が生活を営む地域に即した医療が提供されるべきであること、患者さんそれぞれの目的に合わせて医療の意味合いも異なってくることに気付きました。急性期の患者さんを多く拝見する普段の状況と比較することがなければ、今後も感じることのなかった点だと思います。
 日本はこれから世界でも類をみないスピードで高齢化が進みます。医療経済でも財政再建のため社会保障の見直しが必要な状況にあると思いますが、同時に予防医学も若い年齢から行うことで、患者さんを中心に確固たる医学的な根拠に基づき、過剰な医療は提供せず、限られた資源のなかでも最大限の効率で医療を提供することが可能になると感じました。
 生月島は65歳以上の人口が島民の半数程度おり、日本の将来像に近いところもあるのではないかと思います。今回このような環境で多くの気づきを得ながら1か月研修できたことは今後の大きな糧になることと思います。
 空き時間には平戸・生月グルメに舌鼓を打ち、プライベートでも十分楽しむことができました。綺麗な海の色と星空を眺めるだけで心の洗濯になり、今後もさらに良医となるため努力を重ねていきたいと思いました。最後に病院の先生方、スタッフのみなさんをはじめ多くの生月島の皆さまに親切にしていただいたことをこの場を借りて厚く御礼を申し上げます。1ヶ月間ありがとうございました。
熊川友子