近藤 立樹 (社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院)
近藤 立樹
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院
平成27年8月3日~平成27年8月28日
(社会医療法人青洲会 青洲会病院)

 1か月間、青洲会病院で研修させていただき、病院内の業務だけでなく、訪問看護や訪問リハビリ、地域ならではの離島医療にも携わらせていただきました。
 往診などで患者さんのご自宅を訪問した際、脳卒中で右不全麻痺となりながらも家事をこなしている方、脊髄疾患で両下肢不全麻痺となりながらも農機を活用し農業を続けられている方等、様々な方を診させていただきました。今まで自分の病院では急性期の患者さんを診ることが多く、退院後の患者さんを診る機会があまりありませんでした。ですので、患者さんのご自宅まで出向き、その後を見るというのは今回が初めての経験でした。体が不自由になり様々な困難がある中でも、そこには確かに生活を営む姿があり、元のADLが良好であったとしても自立を促すことでここまでの生活が可能になるのかと驚きを覚えました。自立支援は患者さんが人間らしい生活を営むために、非常に重要なことであると実感しました。
 また、度島に訪問リハビリで訪れた際には離島ならではの難しさを実感しました。訪問した患者さんの奥様と話をしている時に、数日前に蜂に10箇所以上刺され診療所で治療を受けたというエピソードを聞きました。幸いにも診療所に医師が居る時であったため迅速な対応が可能でしたが、医師不在であった場合は30分以上をかけて平戸の病院を受診しなくてはならなかったそうでした。このように離島で生活をするということは、時に緊急性を要する疾患の対応が遅れ、本土では治癒可能である疾患も致命的になるリスクがあるもので、この土地で暮らすことを選択する患者さんに対し、医療者側はどの様に、どこまで関わるべきかということは非常に難しい問題であると感じました。
 研修を通じて感じたことは、患者さんにとっての最良の生活を考え、様々な職種の人が関わりご本人・ご家族を巻き込んでそれを達成していくプロセスがどの患者さんにもあるということです。それは本土であっても、離島であっても同じであり、疾患のみに目が行きがちな自分に、それ以外の部分に目を向ける良いきっかけとなりました。
 この様な貴重な経験をさせていただき、青洲会病院の植田院長を初め、スタッフの皆様方に心より御礼申し上げます。
近藤立樹