小林 伶 (社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院)
小林 伶
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院
平成28年1月4日~平成28年1月29日
(医療法人医理会 柿添病院)

 今まで自分が働いていた病院と違い、地域で限られた人材、資源のなかでどのような医療ができるのか考えさせられる実習であった。
専門分野だけでなく幅広い疾患を患者さんに寄り添ってみている姿をみてプライマリケアとはこういうものなのかと実感した。外科系の先生が多く、手術もこなしていながら、透析、外来、急患など本当に少ない人数で多種多様な患者さんをみていて驚いた。
僕が一番びっくりしたのは、わざわざ船で来て帰る手段がないような患者さんもいることだ。疾患だけでなく、例えば漁師なら満月の日にきていただくなど、その人の生活背景にまで気を配り考えなければならないことは、まさに地域に根差した医療であると感じた。
1ヵ月という短い期間で最初は初めてのカルテになれるのに苦労したが、ほぼ毎日顔を合わせるような患者さんもいて少し雑談をできるようになるまで余裕が出てきたところでの終了となるので物足りない感じがした。
 地域のせいか平戸が特別なのかは分からないが、とてもやさしい方が多くて人見知りの僕でも、温かく迎えてくれていろいろ話すことができたのがとても良かった。
少し困ったのが言葉の壁だ。最初のうちはゆっくりしゃべってくれるのでなんとか分かるがご高齢の患者さんでは早口になってくるとなんといっているのか分からないのだ。イントネーションや身振り手振りでわかるが患者さんの訴えが分からないというのはとても大変でコミュニケーションの大事さを痛感した。
訪問診療では、年齢の割に元気な方が多くて都市部との違いをそこでも強く感じた。周りは田、川、山だけで歩いて数十分かかる病院まで通院している患者さんなどいつまでも元気に暮らしている方が多くて物の豊かさが人生の豊かさにつながるわけではないのだと感じた。
 救急搬送は、何度も行かせていただいてとても大変であったが今までは全く逆の視点から見ていたので新たな気付きがたくさんあった。地域連携とはどういうものなのか全く分かっていなかった。大学病院で実習をし、地方の中核病院で研修をしていて、今回本当の初期診療というものをみることができた。
医師のみでなく、コメディカル、事務の方とも垣根が低く都市部よりもっとチーム医療ができていると思った。
 最後に、内視鏡や外来、病棟から離島、転院搬送、訪問診療など本当にたくさんの経験をさせていただいたおかげでとても充実した実習となった。勉強することも多く今まで外来をそんなにすることもなかったので自分が今まで見てきた患者さんにも安定している患者さんのフォローや健康診断での生活改善などどれも重要だが未体験だったものを知ることができた。
今回の実習は絶対に忘れることはできない経験でいつかもっと成長したらこのような医療もしてみたいと思った。
小林 伶