小林 敦 (東京大学医学部附属病院)
小林 敦
東京大学医学部附属病院
平成29年11月6日~平成29年11月29日
(平戸市立生月病院)

 1ヶ月間、平戸市立生月病院で研修させていただきました。
 研修を通して、生月病院が地域に密着している、生月の方々の生活の根幹の一部である事を実感しました。
 自分が日ごろ研修している大学病院では、診療上の役割の大きな部分を難病や重症患者の治療が占めており、近隣の方々の保健活動は研修医にとって容易に目の届くものではありませんでした。生月病院では事業所健診やがん健診、予防接種などの予防医学的な業務を経験でき、それらの予防医学の対象は病気・持病をお持ちの患者さんに限らず住民全員であって、その為には地域に密着した病院の存在が不可欠である事を実感しました。印象深かった院長の言葉として、「患者さんは一人の医者に全部診てもらっていると思っているから、自分の専門外の病気に関しても早期発見に努めなくてはならない」という旨の言葉があります。プライマリケアと予防医学の強い結びつきを象徴する言葉として、今後自分が外来診療に携わった際は肝に銘じなければ、と思いました。
 外来にいらっしゃる、或いは入院しておられる患者さんの年齢層の高さにも驚かされました。殆どの方が80歳台で、中には100歳台の方も何人かいらっしゃいました。初日に、平戸市の高齢化率は37%にも達し、全国平均よりおよそ10%高い水準になっており、30年後の東京の姿を見ているということを伺いました。介護老人福祉施設が病院の隣に併設されていますが、医療を必要とする状態にあり、他に入院先の無い要介護患者が長期に入院或いは施設と入院を行き来するといった状況が多く見受けられ、我々の世代の医師が直面する問題を目の当たりにしました。その問題に対する取り組み方として、行政上の問題解決以外にも、やはり健康寿命を延長するための予防医学が鍵になるのではないかと考えました。
 最後に、生月病院の先生方、看護師や事務員の方々のおかげで、有意義な研修生活を送る事ができ、大変感謝しております。1ヶ月間ありがとうございました。
小林 敦