川村 優介 (独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院)
川村 優介
独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院
令和元年8月5日~令和元年8月30日
(社会医療法人青洲会 青洲会病院)

 1か月間の平戸での研修は本当にあっという間で、たくさんのことを経験し、やさしく温かい人たちからたくさんの教えや深い言葉をいただきました。1か月しかいない自分たちのためになんでここまで、と思うほどに本当に親切な人ばかりで、うまい魚ときれいな海、そしてお酒の力もあり、平戸を好きになるのに時間はかかりませんでした。笑
 愉快な人たちとの笑いの絶えない、楽しすぎる職場でしたが、地域の医療を体験するうえで忘れられない一人の患者さんの存在がありました。
 平戸に来てすぐ、慢性期脳梗塞の患者さんを担当しました。2週間以上前からの症状で、内服加療を行う以外には特にすることもないかとはじめは簡単に考えていました。普段務めている労災病院では地域の療養型病院などに送ればよかったのですが、この方は大島という離島に独居で、近所に家族もおらず、キーパーソンは民生委員の方でした。普段の通院は島の診療所に任せるとして、リハビリはどうするか、普段の生活はどうするか、デイサービスが近くにはないからヘルパーさん呼びたいけどどのくらい来られるのか、介護保険に入っていない生活保護の方なのでその申請もしないといけないけど、1か月も審査がかかるので間に合わないから回復期リハビリ病棟に転棟するかなど、普段はなかなか考えられなかった問題がたくさんありました。一つ一つ解決していく中で、島まで1時間かけて二人や三人の患者さんのために医師が往診に行っていることや、リハビリやデイケアをしに週に2回島に渡り療法士のかたなどが行うことなどを知り、病院や医療関係者の地域における役割を考えさせられました。
 私にとっての平戸での研修は、本当にここでは全く書き尽くせないほどたくさんのことを学ばせていただきました。リハビリや療養病棟、往診、訪問看護、デイケアに連携室など、たくさんの人たちによって一人の患者さんを支え、地域を見守っているのだなと感じました。ある先生に「医療は修理、人の生活を支えるのは介護やリハビリだよ」と言われました。大事なのは医師あるいは医療者としての地域における役割を考えること、その後の生活まで考えること、また必要とされることはやるということだと学びました。次はバイトで平戸に来ますので、またやよい旅館でお会いしましょう!お世話になりました。
川村優介