加藤 優 (東京大学医学部附属病院)
加藤 優
東京大学医学部附属病院
平成31年4月1日~平成31年4月26日
(社会医療法人青洲会 青洲会病院)

 私は4月1日から4月26日までの1か月間、長崎県平戸市にある青洲会病院で地域医療研修をさせていただきました。平戸市は想像していたよりも遠く、飛行機と電車、バスを乗り継いで長崎空港からも3時間以上もかかって到着しましが、青洲会病院は目の前にきれいな海と真っ赤な平戸大橋を臨む病院で、到着した時はこれからの1か月間の生活を想像してわくわくしたのを覚えています。
 青洲会病院での研修内容は、一般外来、手術、病棟回診をはじめとして、離島診療所での診察や訪問看護、訪問リハビリ、デイケアなど、今までに経験したことのない医療の側面にもたくさん参加させていただくことができました。様々な職種の方と接して実際に体験させていただくことで、以前よりも多角的に患者さんのことを考えることができるようになりました。1か月間の研修で学んだことは多くありますが、特に2つ、大切にしようと心に決めたことがあります。
 1つ目は、“患者さんやその家族を安心させてあげること”は医師の役割のひとつだということを強く認識しました。離島診療所に1週間に一度の診察に向かい、定期的な診察を受けた後に医師に大丈夫だと言われた時の患者さんの安心した表情を見ると、医療機関にいつでもかかることができる環境ではない地域医療の現場で、安心感を与えることができるのは医師としての大切な役割であると感じました。それはきっと地域医療に限らず、どこに行っても大切なことであり、患者との間に信頼関係を築き上げた先にある安心感だとは思いますが、責任をもって安心感を与えることができるよう、知識や手技を磨くことはもちろん、常に向上心を持って勉強していかねばならないことを改めて実感しました。
 2つ目は、自分の「専門」だけではない医師を目指すことです。専門研修など医療の分業化・専門化が進む中で、専門分野を決めて学んでいくことと、自分の専門分野のみしか見られない医師になってしまうことは全く意味が違うと強く感じました。医療資源や医療従事者の数が限られる地域医療において、ベテランの先生方をはじめとして、看護師さんの皆さん、コメディカルの皆さんから教えていただくことはとても多く、医療現場に対する皆さんの姿勢はとても格好よく憧れるものばかりでした。「専門ではないから見られない」とならないように、様々な経験を無駄にせずに学んでいこうと思います。
 1か月間という期間はとても短くあっという間でしたが、たくさんの出会いがあり、平戸を離れるときはとても寂しく感じました。いろいろな方に知識や技術はもちろん、これから医師として歩んでいく上で大切な心構えや思いやりを教えていただきました。青洲会病院で研修させていただいたことはとても大切な経験として一生忘れません。何年後かにみなさんとお会いした時に恥ずることのないよう、患者さんに寄り添った医療を提供できるよう、精いっぱい頑張っていきます。そして、いつか地域医療に貢献できることがあればと考えています。
 最後に、今回の研修でお世話になったすべての方々にお礼を申し上げますとともに、またお会いできる機会がありますことを、心より願っております。本当にありがとうございました。
加藤 優