亀井 沙瑛香 (地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター)
亀井 沙瑛香
地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター
令和2年8月3日~令和2年8月14日
(平戸市立生月病院)

 私は2020年8月前半の2週間、平戸市立生月病院で地域医療研修をさせていただきました。研修を終えて感じたのはなじみのある土地で医療が受けられることの重要さと患者に安心を与える診療の大切さです。
 私は生月病院での研修に対して、期待感もあったものの少し不安な気持ちを抱いていました。それは生月の土地、病院、人々に対し「なじみがないこと」から生じる不安でした。私と同様に多くの人は「なじみのなさ」に不安を感じるものです。もし生月病院がなければ、生月の人々は「なじみのない土地」で入院し「知らない医療従事者」から治療を受けるしかありません。その不安の大きさは容易に想像できます。無論、病状によっては都市部の病院で急性期治療が必要な場合はありますが、慢性期の治療や回復期のリハビリテーションは生月病院で行えるので、生月に戻ってくることができます。訪問診療や往診を使って、なじみのある自宅で医療サービスを受けることや、終末期を過ごすことが可能です。このように、知った土地・病院で、知った医師や看護師による治療が受けられ、入院できる場所があることは生月の人々の支えになっていると感じました。
 また、生月病院の外来では、診察を受けて安心して帰っていく患者の姿が印象的でした。生月の方言で「ご飯はおいしかね?それなら大丈夫」「(検査に対して)これなら上等だ」といったあたたかい会話が飛び交っており、そこには病気なのではないか、悪くなっているのではないかという患者の不安を減らす診療がありました。確かに医学的な面を正しく患者に伝えることも必要ですが、病院を受診し不安が増大して帰宅するようでは本末転倒です。先生方の外来を見学し、自分の患者への対応を振り返ってみると合併症の怖さや副作用ばかり強調し、患者の不安に寄り添う姿勢に乏しかったのではないかと反省しました。医学的な注意点はしっかり伝えつつも、不必要に不安を与えることなく患者や家族を安心させられるあたたかい診療が大切だと感じました。
 今回の研修ではアクセス可能な場所に病院があることの意義や大切さを学び、患者の不安を取り除くという医療の本質を思い出す良いきっかけとなりました。この研修で学んだこと、感じたことを忘れずに日々の診療に励みたいです。
 最後になりますが、今回の研修でお世話になったすべての皆様に心より感謝申し上げます。
亀井沙瑛香