飯尾 亨平 (地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター)
飯尾 亨平
地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター
令和2年7月20日~令和2年7月31日
(医療法人医理会 柿添病院)

 私は平戸市の柿添病院で2週間研修させていただきました。以前学生の時分に岡山県北で1週間地域医療実習を行い、その時には学生としての立場から地域医療を学習しましたが、今回の研修では研修医としてまた違った立場から研修ができ、異なった視点から地域医療を体験することができました。
 平戸市に到着した際には島の大きさに驚きました。山も高く、車で走っていると山中、海沿いなど様々なところに集落があり、数少ない病院、診療所でこの大きな地域の医療を支えている現状を感じました。実際に外来診療を見学させていただいていると、毎日たくさんの患者さんが様々な地域から来院されていることを知りました。人手や医療資源が限られている中で健康診断なども実施しながら診療を進めており、忙しさを目の当たりにしました。その忙しさの中で専門分野に限らず広い範囲の疾患を想起しながら患者さんからの訴えを聞き、検査や加療の必要性をみつけていく先生方の診療は、細分化された病院や診療所とはまた異なった難しさがあると感じました。高血圧や高脂血症などの疾患から膠原病や脳梗塞、狭心症などの比較的重症を含む疾患までを同じ外来の中で診察しておられており、疾患を診るというよりは人を診るという地域医療の大切な原点を学ぶことができました。また院長先生をはじめ様々な先生から患者さんとの接し方、診療の仕方について教えていただきました。
 2週間の間に数例の患者さんを担当させていただきました。普段は急性期病院で研修を行っているので、療養型病床を初めて見ました。普段は急性期病院で治療している疾患が軽快したら退院もしくは療養型病院への転院をするためその後の患者さんの様子を見ることはほとんどありませんでしたが、柿添病院の病室を覗くと、急性期ではないが退院の難しい患者さんがどのような治療を受けながら日々を過ごされているかを見ることができました。数少ない医師で、その地域の急性期から慢性期、外来まで多くの分野の知識を持ちながら最善の治療を施すその求められる知識の幅広さが地域医療の一つの難しさでありやりがいでもあることを感じました。
 その他にも、健康診断や乳幼児健診、介護サービスの見学など様々なことを研修させていただきました。地域の病院や診療所がマンパワーや設備が限られる中で他の都市や地域と同じ範囲の医療を提供するためには、ありとあらゆる医療分野に精通し、必要とされる設備を持つことが必要であることを実際に見ることができました。
 2週間と短い間でしたが、とても充実した研修を送ることができました。限られた時間で多くの内容を準備してくださった柿添病院のスタッフの皆様大変お世話になりありがとうございました。
飯尾亨平