堀米 旭 (独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院)
堀米 旭
東独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院
平成30年8月6日~平成30年8月31日
(社会医療法人青洲会 青洲会病院)

 緑に溢れ、海があり、高い建物に遮られることなく青空が広がっている平戸の地に来たのを昨日のことのように思います。平戸島の向こうに沈む大きな夕陽と、赤く染まる空や海はお気に入りの風景でしたが、もうすぐ見られなくなってしまう寂寥の思いを感じます。
 私は生まれも育ちも横浜ですが、祖父母の実家は田園風景に囲まれる大分県宇佐市にあったため、平戸にたどり着いた時、帰省した時のような懐かしい感覚を覚えました。研修が始まると、懐かしく感じるのは風景だけではなく、方言を含んだ話し方や、人と人との親密な間柄にあると感じました。研修内容としては、離島診療所や訪問診療・リハビリ等に同行させていただき、ADLはそこそこな方でも、自宅の立地的に頻繁な病院受診が難しく、適切な訪問サービスや施設サービスを組み合わせていくことが必要なことが多いと感じました。また、青洲会病院は一般病棟だけでなく回復期リハビリ病棟なども備えていますが、医学的には退院できる状態であるものの、退院した後このままでは家で生活できないだろうといったケースも多く、医師、看護師、理学作業療法士、ケアマネージャーなどが話し合っているのが印象的でした。病気を治すことに焦点を当てるのではなく、患者一人一人の生活背景を考慮したサービスが提供されていることを実際に見て感じ、その根底として必要になってくることが患者医療者間や医療者同士の密なコミュニケーションであると実感しました。
 下旬には平戸地区合同のサマーキャンプに参加し、実際に先頭に立ってご活躍なさっている先生方のお話を拝聴する機会をいただけたことで、地域に根ざした地域医療が高齢化する日本社会においてはある意味先端医療であり、都会の急性期病院で専門分野の経験を積むことだけがキャリアではないと実感し、自分の視野が広がったように感じます。
 1ヶ月間という短い期間でしたが、地域の特色に合わせた医療や介護、福祉サービスを拝見させていただき、退院したその先、どう生きていくかというところまで考えた医療が平戸において実践されていると知ることができました。今回見て感じたことを忘れずに、これからも研鑽を積み、将来は何かしらの形で私も地域に根ざした医療に貢献していきたいと思います。最後に、温かく受け入れてくださった病院関係者の皆様と、患者さまに心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
堀米 旭