原田 樹幸 (地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター)
原田 樹幸
地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立西神戸医療センター
平成29年6月19日~平成29年6月30日
(医療法人医理会 柿添病院)

 2017年06月19日から30日までに2週間、柿添病院で研修をさせていただきました。平戸に関しての知識は隠れキリシタンの街であった、フランシスコ・ザビエルのゆかりの地ということくらいでした。平戸に到着してまず感じたことは、海が近い、というよりも病院が海岸線にほぼ隣接している、宿舎までの道のりは近いけど険しい、この2点でした。
 2週間、研修をさせていただきましたが、具体的には外来実習や内視鏡検査、健康診断、当直業務、訪問診療、訪問リハビリテーションなど多岐にわたって研修をさせていただきました。外来実習で一番驚いたのは時間をかけてフェリーで離島から受診に来る患者が多くいるということでした。日本で一番島の数が多い長崎県ならではの交通手段であると感じました。内視鏡検査では術後の定期フォローの患者、健康診断の患者など様々な患者がいましたが、やはり高齢者の方が多いなという印象を受けました。また、健康診断の研修にも参加させていただきましたが、戦争で被爆された方々が数多く生活しておられる長崎県においては、病気を早期発見することにおいて大変重要な役割を果たしていると実感しました。週1回の当直業務では救急車で来院される患者や小児科の患者も診察することができ非常に勉強になりました。夜間に病院を受診するのは何か身体に違和感や異常があると感じるから受診するということを再認識することができました。医師不足が問題視されている現状の中でやはり夜間でも診察してもらえるという安心感は患者にとってはとても大きなものであると感じました。時には離島から緊急で船に乗って救急外来を受診される患者もいると聞き、非常に驚きました。訪問診療・訪問リハビリテーションでは山間部にある民家や、度島という離島に訪問させていただき、診療、リハビリテーションに参加することができました。御高齢や病気のために病院を受診したり、フェリーで本島に通院することができない患者にとってはなくてはならない医療であると感じるとともに、『自宅』という患者にとってくつろげる場所での診療、リハビリテーションは安心感を与えるとともに普段は相談できないような話題も気軽に相談できる環境であると感じることができました。
 印象的だった診療は、『つけかえ』という縫合などの外傷治療をした患者が翌日以降に創部管理目的で受診される診療ですが、創部を緊急で処置することは日常業務で経験することはありますが、縫合したら終わり、軟膏を塗ったら終わりで、その創部を翌日以降に確認できる機会がなかったため、非常に勉強になりました。2週間で縫合や軟膏を塗布する機会もありましたが、もう少しゆるく結紮しても良かったな、もう少し軟膏を多めに塗布しても良かったな、ガーゼの上から包帯を巻いても良かったな、などと反省したり考えさせられる症例が多かったです。2週間の経験を踏まえて今後は創部の治癒過程も予想して外傷治療に従事できるようになりたいと感じました。
 そして何よりも印象的だったのが、柿添病院を受診される患者は皆、帰る際には穏やかな表情で帰っていくことです。病院に来て良かったと思ってもらえるように、患者の訴えに関して寄り添い、適切なアドバイスを伝え、時には専門的な話をするなどその患者の疾患だけではなく、患者の背景まで理解している先生方ばかりであるということを実感しました。病気を観る前にまず患者を観るという医療の原点を再認識することができました。神戸に帰ってからも柿添病院で学んだことを活かせるように勉学に励みたいと思います。
 2週間という短い間でしたが、先生方やスタッフの方々から数多くのことを学ぶことができました。神戸では体験することのできない貴重な経験をすることができ、本当に感謝しています。この場をお借りして心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
原田樹幸