後藤 良子 (一般財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター)
後藤 良子
一般財団法人 神戸市地域医療振興財団 西神戸医療センター
平成26年6月2日~平成26年6月13日
(医療法人医理会 柿添病院)

 今回、柿添病院で研修させていただき、地域医療の楽しさと大変さを改めて実感することができた。
患者さんと医療者の距離が近く、患者さん本人だけでなく家族を含めた関わりができる事はとても魅力的だった。普段神戸で診療していて、患者さんから感謝の言葉を頂けることはなかなか無いが、柿添病院では何度も「有難うございました」と声をかけて頂くことができた。医師・患者関係を超えた人対人の関係を象徴しているように感じた。こういった関係を築けるか否かは、医師一人ひとりの心構えにもよるかも知れないが、病院が古くからそこにあって、家族が何代もお世話になっている、生活の一部になっているという事実も大きく影響していると思う。そういった環境で診療できるのはとてもやり甲斐があり、使命感を保って仕事ができるだろうと思った。
その一方で、心筋梗塞や脳卒中などゴールデンタイムのある疾患、急変のある疾患については、常に不安が付きまとうのではと感じた。救急搬送のシステムやドクターヘリを充足させても、やはり都市部の様にはいかない場面も多いと思う。もちろん、どこで診療していても間に合わないことはあるが、これが地域の限界で仕方がないと割り切ることは、私には難しいと感じた。
 また、地域の高齢化も実感した。100歳を超える母親を足の不自由な70代の息子さんが介護されていたり、施設に入る経済的余裕がなく子供たちにも頼れない80代の方がいたりと、超高齢化社会の厳しさと共に、家族の在り方について考えさせられた。
 限られた医療資源・社会福祉資源を、どの地域にどれだけ割り当てるかは難しい問題である。今回の研修を通じて、改めてこういった問題について考えることができ、とても貴重な経験になった。今後の自分の診療に役立てていきたいと思う。有難うございました。

後藤良子