藤井 健人 (独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院)
藤井 健人
独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院
平成30年6月4日~平成30年6月29日
(社会医療法人青洲会 青洲会病院)

 地域実習で学んで帰ろうと思っていたことの中で最も重要視していたことが「医療の差」でした。僕が普段勤務している横浜労災病院では、十分すぎる医療資源と医療者の数で日々の診療に当たっています。検査は大抵の項目がすぐに出てきて当たり前、画像検査もすぐにできて当たり前、そんな状況で日々働いています。そんな病院でしかまだ働いたことのない僕にとって、地域での診療は全くの未知でありテレビでしか見たことのないような世界だったためワクワク半分、不安半分、そんな気持ちで平戸にやってきました。
 そういう観点で特に色々と学べたのは、離島実習でした。大抵の検査の結果が出るのは数日経ってから、自分の専門ではない疾患を抱えた患者が次々に来院する状況でいつもとは全く違った医療に出会ったような気がしました。患者の訴えを聞いて何が起こっているのかを把握その場で治療できるものは治療し、手に負えないものなら可能な規模の病院に搬送、という根本でやっていることはもちろん同じですが、検査や画像に頼りすぎない診療が必要とされ、全ての科の疾患の知識を持ち合わせている事が求められ、環境の違いによってそこにいる医療者に求められている役割が全然違うのだな、ということを実感しました。
 在宅医療・看護・介護やリハビリ、福祉施設での活動は一通り大学での講義などで知ってはいるつもりでしたが、医師として働き始めた後でそれらの施設で実際に実習を行うことで、新しい視点で色々と考えることができました。これまで、医療の部分にのみ携わって仕事をしている毎日であったため、特に介護の部分についてはほとんど気にしないままでした。ただこれからの日本ではさらに高齢化が進みそういった介護との連携や連携に携わってくださる方との関わりはますます増えていくと考えられます。それを考えた時に、実は地域実習では未来の医療現場の一端を体験できているのではないか、とも考えたりしました。
 患者への関わり方を見ても思ったことですが、ここ青洲会病院のスタッフの皆様は人と関わりを持つことが好きな方が多いのだな、と感じました。それは僕自身が皆様と関わっていても感じた事で、おかげで1ヶ月間毎日楽しく実習を送ることができました。ありがとうございました。
藤井健人