青木 奎司朗 (社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院)
青木 奎司朗
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 静岡県済生会 静岡済生会総合病院
平成29年7月31日~平成29年8月25日
(社会医療法人青洲会 青洲会病院)

 在来線を乗り継ぎ「たびら平戸口駅」で降りると、横には還暦を迎えた頃の女性が煙草をくわえておりました。タクシーの拾い方がわからず、鈍重なキャリーケースを転がして歩いて病院まで向かう覚悟を決めました。歩き始めようと前を見ると女性と目があったので「青洲会病院はどっちに行けばいいですか」と聞いてみたところ、「こっちおりて左行って、、、一緒に行きますか?」そのまま病院のすぐ近くまで案内してもらいました。ド・アウェイな平戸は田舎but, アットホームでした。
 翌日から始まった研修はすごくビジー、ではありませんでしたが、患者本位の医療を知る良い機会になりました。院長の常光先生の外来では、普段の数をこなしてなんぼの急性期病院の外来と異なり、患者さんの話を丁寧に聞いて丁寧に身体診察をして、患者さんは満足そうに帰って行きました。訪問診療も充実しており往診、訪問看護、訪問リハなど普段あまり目の向かない在宅の世界も知ることはできました。在宅を見て考えさせられたのは「看取り」です。どう看取られるべきか、という問いに解はおそらくないのだと思いますが、急性期病院の病棟でスタッフに囲まれて看取られるべきか、家で家族の前で最期を迎えるべきか、人それぞれだと思いますがターミナルケアを含めた訪問診療が整っているのなら、自分の親なら家で看取りたいと感じました。
 青島(離島)診療所で島民の皆さんと語らいながらまったりと診療業務を終えたのちに、診療所の前の港で海と眺めながら山崎先生に教えられた「生活が第一」は印象に残る一言でした。20年後にまた来ます、なんて口約束をしながら島を去りましたが、口約束といえどまんざらでもないと感じています。
 スタッフの皆様方には食事にも多々誘っていただき、大変快い生活をさせていただきました。またいつか戻りたいと感じる場所でした。ありがとうございました。
青木奎司朗