秋山 拓也 (東京大学医学部附属病院)
秋山 拓也
東京大学医学部附属病院
平成30年9月1日~平成30年9月30日
(平戸市立生月病院)

 このたび長崎県平戸市の生月島にある平戸市立生月病院で研修をさせていただきました。
 東京の自宅を朝出発し、航空機やバスを乗り継いで所要時間12時間以上。生月病院に到着した頃には辺りは真っ暗で徒歩圏内に店がありませんでした。慣れない環境での生活に不安を感じましたが、研修が始まってみると山下院長をはじめ先生方やスタッフの皆様が優しく教えていただき、充実した毎日を楽しく過ごすことができました。
 生月病院は主に生月島の住民の健康の管理と増進という重要な役割を担っており、先生方も幅広い知識をもち、限られた医療資源の中でも全人的な医療を実践されていました。普段私が勤務するような大学病院では専門化・細分化が進んでおり、患者の病態に応じて専門分野に振り分けられますが、このような地域のプライマリ・ケアを担う病院では内科、外科疾患をはじめ専門に拘らず対応が求められており、幅広い視点から診察をして行かなければならないことを主に外来業務を通して実感しました。
 また健康診断や訪問診療、特養の回診など大学病院ではあまり携わる機会がないような業務も、豊富に経験させて頂きました。訪問診療に何度か行く中で、患者やその家族の実際の生活の現場を見て生活背景を知っていることが、きめ細かな対応につながっていると気づきました。外来、入院問わず生月病院を訪れる患者の多くは高齢者であり、生活習慣病をはじめ複数の疾患を抱えている方が少なくありません。単に病気を治して終わりではなく、自宅での介護・家族のサポートなど社会的な観点からも配慮が必要であると感じました。一方、高齢者が高齢者を介護するという老老介護もみられ、高齢化が加速する日本において顕在化してくるであろう問題点、地域と家族の在り方について深く考えさせられました。今後、より一層少子高齢化が進んで医療のニーズも変化していく中、高齢化が進む生月でのこの研修の経験を生かしていきたいと思っております。
 最後に、充実した研修環境を用意してくださった生月病院のスタッフの方々、そしてお世話になった生月島の地域の方々には厚く御礼申し上げます。生月島の美しい風景や、ひらめや平戸牛などの美味しい食事も満喫し、あっという間の1ヶ月でした。ありがとうございました。
秋山拓也